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株式と株券

法律上、「株式」とは、株式会社における出資者としての地位のことを意味します。この株式の保有者である株主は、会社の所有者としていろいろな権利を持ちますが、そのような権利は目に見えません。そこで、これを目に見える形にしたのが「株券」です。

会社法では、株券を発行しないことを原則としており、株券は定款に株券発行の定めがない限り発行されないことになります。また、定款に株券を発行する旨の定めがある場合でも、株式譲渡制限会社は、株主から請求があるまでは株券を発行しないことができます。

各株式の権利内容は、均一で平等であることが原則なのですが、会社法は、この原則に対する例外として、権利の内容が異なる種類の株式を発行することを認めています。このように、株式ごとに権利内容を異にするものを「種類株式」といいます。

会社が認める種類株式には多様なものがありますが、代表的なものは、(1)剰余金の配当について異なる定めのある株式 (2)株主総会の議決権について異なる定めのある株式 (3)譲渡について会社の承認を必要とする株式などです。
種類株式を発行するには、各種類の株式の発行可能種類株式総数と内容を定款で定めなければなりません。

この種類株式の発行を認めた趣旨は、会社が発行できる株式のバリエーションを増やすことで、資金調達や支配関係の多様化を図るためです。
たとえば、会社としては、「お金は出してほしいが、経営には口を出してほしくない」という場合があります。他方、出資者としても、「会社の経営には興味がないが、とにかく配当を多くもらえればよい」という場合があります。このような場合、株主総会での議決権はないが、剰余金の配当については優先されるという株式を発行することができれば、会社・出資者の利害も一致し、有用といえます。

種類株式を発行している会社では、ある種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、全体の株主総会の決議の他に、その種類株式の株主で構成される「種類株主総会」の決議が必要とされます。ただし、あらかじめ定款で種類株主総会の決議を必要としない旨を定めることも可能です。

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